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『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』 清武英利著 独裁に立ち向かった告発記録 【書評】 - 世界日報DIGITAL

2011年11月11日、読売新聞の元社会部記者で巨人軍球団代表だった著者は、記者会見を開いて、会社のコンプライアンス違反を告発した。自称「最後の独裁者」で「読売のドン」こと故・渡邉恒雄氏に反旗を翻した。 世界一の発行部数を誇る読売新聞から「全面戦争になる」と恫喝(どうかつ)されても屈しなかった。不条理に目を閉ざさない「記者魂」の告白集だ。 政治やスポーツの「ぶら下がり」取材では、特段の追及もせず、記者らが「顔を寄せ合ってメモ合わせをする」のが常だという。記者が自社の編集方針に従ったり、競合他社と歩調を合わせたりするようでは全体主義と変わらない。公権力を監視するのがメディアの役割でありながら、渡邉体制の読売新聞は政権寄りと揶揄(やゆ)された。 著者は社会部時代が長く、証券会社の損失補?(ほてん)、銀行の不祥事など数々のスクープを挙げた。その際、とにかく人に会って話を聞くという基本に常に立ち返った。 記者にとって大事なのは、「取材先と仲良くなって信頼されること」「懐に飛び込んだら、時には信頼を裏切ってでも、自分の判断で書くこと」である。 「記者は天国に行けない」のは、非情に相手を切り捨てることもあるからだ。天国に行きたいがために真実を伝えない人は、記者ではないと訴える。 閉塞(へいそく)感漂う今の日本社会が変わるためには、著者のように周りに流されず正義感を持った記者が多く誕生することが必要なのではないか。 ハイライトは、巨人軍の幹部として経験してきたエピソードの数々である。選手補強などを巡る泥臭い舞台裏は読み応えがある。巨人軍の経営を含め、とにかく「おかしい」と感じたら、諦めずに追及した。 本書は単なる「武勇伝」ではない。同じ志と取材力を持った他社の記者をも取り上げ、評価していることから著者の人柄が分かる。

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